冬にキャンプ場へ行くと、テントからニョキっと煙突がでていることありますよね。キャンプ上級者の証「薪ストーブ」です。「薪ストーブ」カッコいいですよね、テント内で炎を見ながらまったり過ごすの憧れますよね。火遊び大好きそらいろは、冬キャンプに何度か行くうち、薪ストーブへの憧れがどんどんヒートアップしています。でもいきなり買うのはハードルが高い(;・∀・)
ということで、今回は有野実苑オートキャンプ場で薪ストーブをレンタルして、実際テント内で薪ストーブを使う体験をしてきました。そこで薪ストーブの魅力と同時に見えてきたのは、ファミリーキャンプで薪ストーブを使う難しさでした。ではレポをどうぞ!
薪ストーブを楽しむ方法
薪ストーブがレンタルできるキャンプ場
薪ストーブがレンタルできるキャンプ場は、意外とたくさんあります。ただ注意が必要なのが、薪ストーブと煙突のセットだけを借りても、テント内では使用できないということです。テント内に薪ストーブをインストールするには、「幕よけキット」や「煙突ガード」という、テントの幕にストーブや煙突が直接ふれないようにする道具が必要になります。この幕よけもセットで貸してくれるキャンプ場となると限られてきます。
①有野実苑オートキャンプ場
千葉県山武市にある有野実苑オートキャンプ場は、首都圏から車で90分の好立地にありながら、自然豊かでプライベート感のあるキャンプ場です。こちらのキャンプ場では、ホンマの時計型薪ストーブと煙突、大型の幕よけ、灰とりスコップのセットが2000円でレンタルできます。またレンタル薪ストーブのセッティングの仕方や使用方法についての詳しい説明が、ホームページのスタッフブログに掲載されているので、初心者でも安心して使用できます。
②ライジングフィールド軽井沢
出展:ライジングフィールド軽井沢公式
長野県の軽井沢町にあるライジングフィールドは、北陸新幹線軽井沢駅から車で15分程度の便利な場所にありながら、木々に囲まれた自然豊かなキャンプ場です。こちらのキャンプ場では、新保製作所の「FIRE SIDE」と煙突、幕よけのスターフィールドの「DUCT COVER -V5」のセットが5000円でレンタルできます。やや高めの値段ですが、人気の3面ガラス窓付き薪ストーブをレンタルで試せるキャンプ場はここだけではないかと思います。またそれ以外のレンタル品も充実していて、テントは5種類から選ぶことができます。
有野実苑オートキャンプ場の薪ストーブ
出展:有野実苑スタッフブログ
今回は1泊2日の予定で有野実苑オートキャンプ場を利用することにしました。事前に薪ストーブをレンタルしたいことを伝えていたので、受付時にはセンターハウス前にセッティングされています。受付を済ませた後、スタッフの方から薪ストーブ使用に関する注意を聞いて、その後薪ストーブのセットを受け取ります。
薪ストーブ使用にあたっての注意点
①テント内での薪ストーブの使用は原則禁止されているので、火災には十分注意する。
②自己責任で使用する際は、一酸化炭素チェッカーは必ず使用する。
③定期的に換気を行う。
④夜寝る時は、必ず薪ストーブを消火する。
薪ストーブセットは自分たちでサイトまで運ぶことになりますが、この幕よけがかなり大きくて、我が家のコンパクトカーには乗りません。そこでパパとこども達は車で移動し、そらいろが一人でこの薪ストーブセットを歩いてサイトまで運ぶことに。幸い幕よけにはキャスターが付いているので、なんとか引っ張ることはできますが…
地面は砂利で車輪がスムーズには進まず、薪ストーブからは振動でガタガタと大きな音がでるし、さらに幕よけの上に薪ストーブを載せたまま運んだのでバランスが悪くてかなり大変だったよ。
薪ストーブと幕よけを別々に運べば、幕よけを手前に傾けてグイグイ引っ張れるから楽だよ。
ということで、ちょっと苦労しましたが無事サイトまで何とか薪ストーブを運びこみました。ではさっそくランドロックを設営し、テント内に薪ストーブを設置してみましょう。
薪ストーブの設置方法
出展:有野実苑スタッフブログ
薪ストーブのセッティング方法は、有野実苑スタッフブログに詳しく掲載されているのでこちらをご覧ください。
ではそらいろもスタッフブログで設置方法を確認し、さっそく実践してみます。薪ストーブ後方の筒と幕よけ側の煙突をジョイントし、煙突の上部もジョイントします。後は、幕よけ部分を三角になるようセットして、テントの入口がちょうど三角の部分に来るようにセッティング。最後にテントの扉部分の布がヒラヒラしないようにペグダウンすれば完成です。
今回はランドロックのサイドの扉側に設置してみました。この幕よけ本当に優秀で、設置は簡単だし、作りがしっかりしているので安心感があります。薪ストーブの周りには焚火テーブルを設置して、こどもが近づかないようにします。(今回ストーブガードを持ってくるのを忘れてしまったので、薪ストーブを点火している間は、私がずっとそばについていました。)そしてテントの上の方に一酸化炭素チェッカーも設置完了。
薪ストーブの火入れ
有野実苑では、冬期(10月~3月)のみ薪を無料で使うことができます。無料の薪は、伐採された枝などがそのまま積まれている状態なので、のこぎりを持参して自分で使いやすい長さに切る必要があります。また場合によっては無料の薪が無いこともあります。
今回は、薪ストーブの火入れに使う小枝を頂きました。乾燥した小枝や枯草があれば、焚き付けをわざわざ作らなくていいので助かります。使用する薪は有野実苑で販売している針葉樹の薪1箱と、持参した広葉樹の薪1袋です。
薪ストーブの中に、小枝と細めの針葉樹薪と着火剤一かけらを入れて、いざ点火?
すぐに薪に火がついて、順調な滑り出しです。しばらく様子を見ていると…
あれ?なんか煙出てきたんだけど、薪ストーブって蓋の隙間から煙が出たりするものなのかな?
いやこれ、煙漏れるって次元じゃありませんから!火事ですよ火事!!」
一瞬で幕内全体が真っ白に。焦る気持ちを抑えつつ、とりあえずテントの扉や窓を全開にします。
これ、ストーブの錆止めに塗ってある油が燃えてる煙じゃない?
そらパパの冷静な判断に、納得。
確かに初め薪ストーブを触った時にすごくベタベタしたんですよね。これたぶん、鉄製のダッチオーブンを使った後にオリーブオイルを塗っておくのと同じように、錆止めの油が塗ってあったんですね。しばらくそのまま様子をみていたら、油が焼き切れたのか煙は出なくなりました。
薪ストーブに火入れをする時の注意点
薪ストーブの周りに錆止めの油が塗ってある場合や購入してすぐの薪ストーブを使用する際は、テント内で点火せず、まず屋外で油や錆止め塗装を焼き切ってからテント内に入れるようにしましょう。
薪ストーブの楽しみ方
①料理
薪ストーブといえば、コトコト煮込み料理でしょ! ということで、ポトフを作ってみることに。上部のフタを空けて、ダッチオーブンを載せたりもできるみたいだけど、今回はとりあえず普通にストーブの上に鍋を乗せてみます。しばらくすると沸騰。というか弱火にするのが難しい。ポトフは煮込まれすぎて、濃厚スープになりました(;・∀・)
②火遊び
今回レンタルした薪ストーブは、窓のないタイプなので炎を見るには薪を入れる扉を開けないといけません。薪を追加して燃えだしたのを確認したらふたを閉めて、また30分くらいしたら蓋を開けて確認の繰り返し。別のことをしていて薪ストーブのことを忘れていると熾火になっていてあせったり、でもそれが楽しくて。焚火好きにはたまらないですね、テントの中で焚火を楽しめるんですから。窓が無くて炎をずっと見ていられなくても、薪のはぜる音を聞いたり、薪の燃える匂いを楽しんだり。それだけで幸せな気分になれます。
薪ストーブのメリット・デメリット(ファミリーキャンプの場合)
薪ストーブのメリット
①あたたかい
薪ストーブのメリットとしては、その圧倒的な熱量があげられます。外気温が高めだったこともありますが、3本程度ずつ薪を燃やしているだけで天井近辺の温度は30度近くになっていました。ただ熾火になると室温はかなり下がるので、一定の火力を維持することが必要になります。
②調理器具にもなる
薪ストーブは上部に鍋やケトルを置けるスペースがあり、コンロ代わりに使うことができます。火力の調整は難しいですが、煮込み料理にはもってこいです。またストーブ内にホイルで包んだサツマイモやジャガイモを入れておけば、焼き芋やじゃがバターも簡単に作ることができます。
③テントの中で炎を見て過ごすことができる
キャンプの醍醐味の一つは、焚火の炎に癒されることですよね。でもいくら焚き火が大好きでも、氷点下の屋外で長時間過ごすのは厳しいものです。薪ストーブがあれば、温かいテントの中で思う存分炎を見て過ごすことができます。
薪ストーブのデメリット
①一定の火力を維持するのが難しい
薪ストーブは焚火と同じで、燃やす薪の量や薪を追加するタイミングによって火力が変化します。常に一定の室温を保とうと思うと、薪の状態を把握して適宜薪を追加する必要があります。ソロキャンプであればそれ自体が楽しみにもなりますが、ファミリーキャンプの場合こどもの遊び相手をしたり、お風呂に入れたり、添い寝をしたりと薪ストーブのそばを離れる時間が長くなりがちで、薪の燃え方を確認できないこともしばしば。一度火が消えてしまうと、また点火して火力が安定するまでに時間がかかりますし、暖房器具として安定した火力を維持するのは結構難しいです。また夜間は薪を燃やし続けることが難しいので、補助的な暖房器具や冬用のシュラフを準備する必要があります。
②やけどのリスクが高い
出展:イラストAC
薪ストーブは、高い暖房効果があるだけにかなりの高温になります。薪ストーブ本体や煙突部分は200度を超える温度になるので、子どもがうっかり触ってしまえば大けがにつながります。小さいこどもがいる場合、狭いテント内で薪ストーブを使う時には、頑丈なストーブガードを設置するなど対策が必要です。
③設営や撤収に時間がかかる
レンタルの薪ストーブの場合、幕よけや煙突は組み立て済みで、片付けも灰を出して返却するだけです。でも実際に自前の薪ストーブを使用するとなると、煙突や幕よけを組み立てて、安全に使用できるように設営しないといけないので、かなりの時間がかかります。さらに後始末は、本体や煙突をバラバラにして撤収するだけではなく、煤やタールで汚れた煙突や薪ストーブ本体を掃除するアフターフォローも必要になってきますので、チェックアウト時間が早いキャンプ場だとかなり慌ただしくなります。
④荷物が多くなり車への積載が厳しい
大型の車をお持ちの方であれば、薪ストーブが増えても積載の問題で悩むことは少ないかもしれません。でも我が家のようなコンパクトカーの場合、それでなくても荷物の増える冬キャンプにおいて、薪ストーブと煙突と幕よけを追加で積み込むのは至難の業です。薪ストーブを購入する場合は、車に乗せられるかを検討しておく必要があります。
⑤薪代がかかる
薪ストーブをメインの暖房にしようとすると、最低でも6時間程度は薪を燃やし続けることになります。今回のキャンプでもちょうど6時間程度薪ストーブを使用しましたが、その間に使った薪は、針葉樹の薪コンテナ1箱分(800円)と広葉樹の薪土嚢袋1袋分(1000円)です。これに対して、前回のグリンヴィラでのキャンプで灯油ストーブを使用した時は、2泊3日で24時間以上使用して、灯油18ℓ分の1500円程度でした。これはストーブの燃費や燃料の価格変動もあるので一概には言えませんが、単純計算で薪ストーブは、灯油ストーブの5倍のコストがかかっています。
薪ストーブと灯油ストーブの決定的な違いとは
去年の秋に冬キャンプの暖房について考え始めた時から、私は薪ストーブと石油ストーブを同じ「暖房器具」として比較してきました。でも実際に薪ストーブと灯油ストーブをレンタルしてみて感じたのは、
灯油ストーブは暖房器具だが、薪ストーブは遊び道具
だということです。同じようにテント内の空間を温める道具ではありますが、灯油ストーブがキャンプを快適にする手段であるのに対して、薪ストーブはそれ自体がキャンプの楽しみなんですよね。(炎をたやすく操れるベテランキャンパーの方なら、薪ストーブを暖房器具として扱えるので話は別になるのかもしれませんが。)
だから考えるべきことは利便性ではなく、「何をしにキャンプをしに行くのか」というとこなんだと思います。
そう考えると、こどもが楽しめることを一番に考えるファミリーキャンプに薪ストーブは馴染みにくいんですよね。薪ストーブにゆっくり向き合う時間がとりにくいですから。普通に考えれば灯油ストーブがベターな選択だと思います。でもね。それがわかっていてもやっぱり欲しいって思ってしまうほど「薪ストーブ」って魅力的なんです。
我が家の結論
グリンヴィラでの灯油ストーブキャンプと、有野実苑での薪ストーブキャンプを体験してみて、我が家の出した結論は…
※原則各メーカーは、テント内でのストーブの使用を推奨していません。自己責任での使用となりますので、各自が安全に配慮して必要な準備をする必要があります。
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