梅雨が明けて急に猛暑になってきましたね。去年のこの時期は40度近くまで気温が上がり、炎天下に出ると熱中症必死の天候でした。そんな中我が家のクーラーボックス「イグルー クアンタム」では、この暑さに対抗できず、氷が残っていても庫内が冷えないという現象が発生! その後パパの釣り用に「シマノ フリーガ ベイシス200」を買い、この春満を持して「イエティ タンドラ35」を購入しました。そこで35度を超えてきたこの時期に、この3個のクーラーボックスの実力を知るための実験をしてみました。結果は予想通りか、はたまた… ではレビューをご覧ください。
比較するクーラーボックスの紹介
イエティ(YETI) タンドラ35
内寸:幅38.0 × 奥行26.5 × 高さ25.5cm
重量:7.7kg
容量:28.3L
イグルー(igloo) クアンタム28
外寸:幅47×奥行34×高さ42cm
重量:4㎏
容量:26L
材質:外側(ふた/ポリエチレン)、内側(ポリプロピレン)、断熱材(ポリウレタン)
シマノ フリーガ ベイシス200
外寸:幅465×奥行292×高さ316㎝
内寸:幅355×奥行227×高さ255㎝
重量:3kg
容量:20L
素材:PP樹脂+発泡ポリスチレン+1面真空パネル
実験の方法
実験環境
自宅東向きベランダ。タープ代わりに布団を干して、直射日光が当たらないようにしました。実施時間は7月30日9:00~8月1日9:00の48時間です。天候は晴れ時々曇り、最高気温36度というかなり厳しい条件です。
クーラーボックスの中身
それぞれのクーラーボックスの中には、冷やした酎ハイ15本とクーラーボックス容量の2割前後の氷(YETIとイグルーには2ℓペットボトルを2本+500gの保冷剤2個、シマノには2ℓペットボトル1本と1.5ℓ1本+500gの保冷剤2個)を入れました。保冷剤は氷点下になるものではなく、100均で売っている通常の物です
測定方法① 1時間ごとに外気温と庫内温度を測定
それぞれのクーラーボックスの庫内には、蓋を開けずに随時温度を確認できるよう温度計を壁面にテープで固定して設置。この温度計を使い1時間ごとに庫内の温度をチェックします。
測定方法② 1日4回ペットボトルの水の溶け具合をチェック
食事時にクーラーボックスを開けることを想定して、9:00、13:00、17:00、21:00の1日4回蓋を開けて中のペットボトルのみ取り出し、溶けた水の量を計測。ペットボトルと水はそのままクーラーボックスに戻します。
実験結果
①直射日光の威力は防ぎきれない
まず初めに外気温ですが、東向きのベランダという環境から、日の出からの3時間ほど急激に気温が上昇し、一般的な天気予報とやや違う気温分布となっています。とはいってもベランダにはタープ代わりの布団を干したままにしており、温度計にもクーラーボックスにも直射日光は当たっていないはずなんですが、それでも気温の上昇は免れることはできませんでした。ベランダという風通しが悪い環境が影響してことも考えられますが、テントの前室などでも同様に、直射日光の刺している時間は思った以上に気温が上がってしまうことが考えられます。
②日中に蓋を1回開けると庫内温度が1度あがる
今回は1日4回(9時・13時・17時・21時)にクーラーボックスの蓋を開けて、中の氷の量を確認しました。表の赤く塗った時間に開閉をしていますが、日中は数秒クーラーボックスを開けただけで一気に庫内温度が上がっているのがわかると思います。そして閉めた後も庫内の温度が蓋を開け前よりも1度程度上がるという印象でした。
③氷の残量に注目
一般的に保冷力の指標として、「氷が何日間残る」と部分がクローズアップされますよね。今回の実験でも氷の残存量をチェックしてみました。表の文字が小さくてちょっと見えにくいですが、上記②の折れ線グラフで示した赤く塗った時間帯に溶けた水の量を測定し、そこから計算した氷の残量をパーセンテージで表にしています。ここで注目したいのは、「イグルー クアンタム」が予想以上に健闘しているということ。もちろんYETIが一番氷の残存量は多かったんですが、イグルーも24時間経過した時点で4割以上の氷が残っていました。実勢価格が6000円台であることを考えると、かなりコスパが良いクーラーボックスだといえそうです。
④庫内温度に注目
そうイグルーも頑張っているんです、ただ今回の実験を見た時に氷が半分程度残っていても庫内温度が10度を超えていることがわかります。たとえ氷が溶け残っていても、庫内温度が上がってしまってはクーラーボックスとしての役目は果たせません。
ここで注目したいのが30度以上の環境下で庫内温度が10度を超えるまでの時間です。イグルーとシマノの庫内温度が10度を超えたのは9時間後なのに対し、イエティは24時間後でした。後述しますが、菌の繁殖を防ぐためには庫内温度を少なくとも10度以下を保ちたいところですので、真夏のキャンプではこちらの方が重要なポイントになると思います。
ただイグルーとシマノについても15度を超えたのは24時間以上たってからでしたので、氷の量を増やす、開ける回数を減らす等の対策をすれば24時間程度は10度以下を維持できる可能性もありそうです。また日中の外気温があと5度程度低ければ、シマノやイグルーでも1泊2日なら庫内温度10度以下を維持できるのではないでしょうか。
食中毒を起こす原因
菌の繁殖しやすい条件
では食中毒を起こさないようにするには、クーラーボックスで食べ物をどの程度の温度で保管すればよいのでしょうか?一般的には、高温多湿な環境に食べ物を置くと傷みやすいといわれています。実際に菌が繁殖する温度とはどれくらいなのでしょうか。
繁殖する温度10~45度
ほとんど繁殖しない温度5度以下
※さらに高い湿度など、条件が揃えば菌は一気に増えます。
今回の実験では、30度以上の炎天下で小型の一般的なクーラーボックスを使用した場合、かなり早く庫内の温度が10度以上になってしまうことがわかりました。庫内の温度が10度以上になっても食材自体が低温であればすぐに10度以上になるわけではありませんが、冷凍していない生鮮品はそれほど長く新鮮さを維持できないのではないでしょうか。
キャンプでの食中毒を防ぐには
クーラーボックスに入れる食材や氷を低温で凍らせる
クーラーボックスは冷蔵庫ではないので、中に入れた食材や氷の温度によって庫内の温度が違ってきます。肉や魚などの食材もすぐに使わないものは冷凍しておくと良いですね。また氷も低温で長時間かけて凍らせた方がもちがいいといわれています。冷凍庫の庫内温度を下げて2日以上凍らせましょう。
クーラーボックスを日陰で風通しの良い場所に置く
クーラーボックスは直射日光や地面からの熱に弱いです。今回の実験でも直射日光のあたる時間帯の氷の溶け具合が大きかったように思います。できるだけ直射日光が当たらず、熱のこもらない場所で保管するようにしましょう。一般的にはクーラーボックススタンドに置く方がいいといわれていますが、日陰に直置きする方がいいとの意見もあります。
クーラーボックスに途中で氷を追加する
実験の結果を見ても、氷の量が半分以下になると次第に庫内温度が上昇していくことがわかります。中の食材の温度が上がってしまってから氷を足しても、なかなか温度は下がらりませんので、氷が明らかに減ってきたときは早めに追加するのがおすすめです。
とにかく開ける回数を減らす
気温の高い日中に1度クーラーボックスを開けると、それ以降の庫内の温度が1度上がるという印象でした。特に気温の高い日中は、できるだけクーラーボックスを開ける回数を減らせるように工夫しましょう。ハードクーラーの中を小さめのソフトクーラーで2分割しておくのも効果があります。
2日目以降の食材は2日目に買い足す
25ℓ前後の通常のクーラーボックスでは、1泊2日程度使用が限界のようです。その場合は、2日目以降の食材と氷をキャンプ場近くのお店で買い足すのがベターです。生鮮品を生ぬるい温度で保管し続けると、食中毒の原因になりますので注意が必要です。
水分量の少ない食材・レトルト食材や缶詰を活用する
2泊3日のキャンプだけど、キャンプ場の近くにはお店が無いという時もありますよね。そんな時は割り切ってレトルト食材や缶詰めなど保存の利く食材で作れるメニューにしてはどうでしょう?豪華なキャンプ飯でなくても、外で食べるご飯はそれだけで十分美味しいですよね。
クーラーボックスの選び方
思い切って高性能なクーラーボックスを選ぶ
今回「シマノ フリーガ ベイシス200」は不本意な結果に終わりましたが、釣り用クーラーボックスの真骨頂はやはり「6面真空パネル」採用のモデルですよね。他のサイトをみてみると、6面真空パネルのクーラーボックスの高い性能が紹介されていますので、釣り用クーラーボックスなら思い切って高級モデルを選びたいですね。そしてYETIの保冷力の高さは本物でしたね、価格に見合った性能に驚きました。ナンバーワン保冷力と噂のオルカクーラーはさらにすごいんでしょうか?!
大容量のクーラーボックスを選ぶ
これはグループキャンプをして、他の家族が使っているクーラーボックスを見て感じたことなんですが、「コールマン エクストリームクーラー」や「イグルー マックスコールド」の50ℓ前後の物って10,000円程度で購入できるのに、保冷力がすごいんです。クーラーボックスに氷をたくさん入れて使用すると、「YETI タンドラ35」と同等かそれ以上の保冷力があると思います。車の積載量に余裕がある方であれば、大型のクーラーボックスを購入するのもおすすめです。
クーラーボックスの2個使い
我が家のように車載に余裕がない場合、小型のクーラーボックスを2個使用するのがお勧めです。我が家は普段、シマノのクーラーボックスに飲み物や調味料を入れて、YETIに生鮮品を入れています。シマノのクーラーボックスは開閉が簡単にできるので、庫内の温度をそれほど気にせず、こども達が自由にジュースなどを取り出せるようにしています。YETIのクーラーボックスは、食事準備の時のみ、最低限の回数しか開けないように気を付けています。さらに2泊以上のキャンプの時には、1日目に使う食材のクーラーボックスと2日目以降に使う食材のクーラーボックスにわけて、後者は2日目まで一切開けないといった使い方をすることもあります。
まとめ
この夏、我が家が満を持して購入した「YETI タンドラ35」。買う前は、「口コミの評価は高いけど、そうはいっても断熱材はポリウレタンだし」「見た目だけなんじゃない」と思っていたんですが、今回の実験ではその実力を見せつけられました。35度以上の猛暑日でも、庫内をクールに保ってくれる「YETI」のクーラーボックス、あなたも思い切って手に入れてみてはいかがですか?
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コメント
[…] そらいろキャンプ様のブログで紹介されている「YETIのクーラーボックスの保冷力検証実験」では、 […]
[…] ちなみに、クーラーボックスの検証をしている方の記事を紹介。素晴らしい検証で、ためになります。https://soracamp.net/2019/08/coolerbox-comparison.html […]